放課後の小学生の宿題を見守るボランティア先で会う、1年生の男子児童H君。
彼にはお互いにちょっかいを出す男の子がいて、部屋で追いかけっこをしたり、相手にケガをさせるほどふざけっこをしたりして、ボランティアの大人たちも毎回2人を引き離すのが大変な状態でした。
その後、じゃれあっていた男の子は毎回読書に夢中になり、H君がちょっかいを出すとにらむので、H君は1人で走り回ることになり、ボランティアの先生がつきっきりになる場面が増えました。宿題を始めてもすぐに気が散ってしまいますが、宿題タイムが終わると(宿題は終わっていなくても!)、人が変わったかのように1人で黙々と手を動かして工作をします。
工作大好きなH君!
その日、彼にしては珍しく、1人でおとなしく座って問題集を開いていました。でも一向に鉛筆が動く気配がありません。
「何か、困っていることはありますか?」と聞くと
「これどうやって解くの?」と、引き算の問題を質問して来ました。
あのH君がこうやって大人に声をかけて、宿題をするようになったんだなあ・・と、ちょっと驚きました。
ヒントをあげたらだんだんわかってきて、算数問題を順調に解いていたのに、突然「あ、これやらなきゃ。」と違うノートをひらいて書写をし始めました。どうやら連絡帳の板書が終わらず、そのまま放課後を迎えてしまったみたい。
他の児童の連絡帳を借りてあって、彼なりに、早く返さなきゃ、と思ったようです。貸してくれた女子児童は階上の児童クラブにいるとのことでした。
そういう気遣いもいいね。H君。
H君は文字も読めるし、何が書かれてあるのかはわかっているのですが、書き写すという作業がかなり難しい様子です。
しかも、その日は10行以上連絡帳に書くことがあって、H君にしたら、30分はかかりそう。私が文字を指さしながら一緒に読んでいき、H君は一文字ずつ写していきます。それでも、文字が飛んだり、違うカタカナを書いてしまったり。
途中で上級生が大きな音を立てているのが気になって、席を離れてしまったH君。
数分後、また戻って来ました。
「戻って来るの、お待ちしてましたよ。」と言ったら、
「先生は、普段いつも何をしているの?」と聞いてきました。
「家で、お料理したり、お掃除したり、あとね、お洋服を縫ったりしているよ。」
「ミシン使うの?」
「うん、そうだよ。最近は、息子に頼まれた犬の服を縫おうと思っているんだ。」
「え~っ、子どもいるの?何歳?」
「う~んと大きなお兄さんだよ。もうお仕事もしているんだよ。」
「へー・・・。」
子どもがいる、の件(くだり)でそんなに驚かれるとは?
小学1年生に私はいったいどう見えているのでしょうね・・・。
「H君、いつも工作上手だよね。私もH君も、何かを作ることが好きなのは一緒だね。」
上手、と言われて少し照れていたH君。
あんなに、駆け回って注意され続けていた児童とは思えないような表情。
子どもってホント魅力がいっぱい。
その後、児童館からノートを取りに来た女子児童に少し待ってもらって、何とか連絡帳を仕上げることができたH君。工作の時間が減ってしまって残念そうだったけど、集中して頑張っていたと思います。
子どもが少しずつ変わっていく姿を垣間見ることができて、私自身にも新しい気づきが生まれます。ありがたいことです。
今日は、長女の祥月命日でもあります。
合掌。