お茶のお稽古で、炭を使ったお点前(てまえ)が多くなりました。
炭手前(すみてまえ)では数種類の炭を組み合わせて使うとのことで、その炭セットも先生に見せていただきました。細長い物や太くて短い物以外に、細くて真っ白い炭もあってびっくり。炭の断面が丸くて、切り口が菊の花のように均一に割れ目があるのがよいそうです。先生は「菊炭(きくずみ)」と呼んでいました。
公民館の教室にも通っている生徒さんがいらして、その方曰く
「炭手前ができるなんて、どれだけありがたいか。」
公民館の茶道教室では火を取り扱うことは禁じられているそうです。
炭をセットした形の電気炉も売られていますが、やっぱり風情が・・・。
ただ炭は高価なので、先生側もご準備がなかなか大変のようです。
お稽古中はそれこそ静かな空気が流れますが、釜の湯が沸いてくると、かすかに音が聞こえてきます。その音のことを「松風(まつかぜ)」というのだそう。
お稽古では薄茶(うすちゃ)や濃茶(こいちゃ)以外に、白湯をいただくこともあるのですが、鉄釜で松風が聞こえるまで沸かしたお湯は、自宅の白湯とはずいぶん違うように感じます。
お湯を沸かすのに、鉄釜とステンレス製のやかんとの違いはもちろんありますが、沸騰を続けているか、いないかの違いもあるのではと。
自宅でセンサーコンロを使ってお湯を沸かすとき、消し忘れると危ないと思って、コンロに付いているやかんのマークを押して、何分沸騰させたら消火するのかを設定しています。以前は最長の5分に設定して「カルキを飛ばすぞ~」と思っていましたが、「ガス代もったいないよなあ」の気持ちの方が強くなり、最近は沸騰時間は0分。
昭和の頃、ストーブに乗せていたやかんのように、蓋が上下するほど湯を沸騰させる、なんてことはほとんどなくなりました。それもきっと関係していると思うのです。
松風を聴きながら、お茶をいただける機会は本当に貴重で、まさに非日常。
私にとっては至福の時です。