女子旅3人で、染色体験に参加してきました。
福島県にある工房で、ご挨拶のあとは養蚕業全般に関する話題でひとしきり盛り上がり・・・。おそらくオーナーが自分たちと同世代の女性であったので、親しくお話できたのだと思います。
明治から大正にかけての隆盛期のこと、
日銀の支店が東北で最初にできたのが福島であることが製糸業に関連していること、
蚕は家族同然で、家畜のように「頭」と数えること、
皇后様が御養蚕所で養蚕業をなさっていることを知っている人が少なくなってしまっているのでは、などなど次々と話題が出てきました。
女工哀史のことも話題が出ましたが、映画等では悲しい事実が前面に取り上げられているけれども、実際に行っていた人に話を聞いたら、やや違うこともあるそうです。貧しい農家に生まれた自分が、働きに行った紡績工場で裁縫なども教えてもらうことができたので、そこに行けて楽しかったという証言もあるとのことでした。なるほどね・・・。
その後、染色体験が始まりましたが、友人2人がシルクストールを染めたいと言うと、オーナーが「シルクは生葉で染めるときれいなのよ~。しかも夏の今だけ!」とおっしゃったものだから、友人2人とオーナーが急遽栽培畑まで行って藍の葉を摘むことに。
その間、私は工房で留守番しつつ、藍染めをするTシャツの絞り作業をすることになりました。
オーナーが畑へ行く前に、ごく簡単に絞り方を教わったものの、さてどうしたものか。渡された道具は
割り箸
ビー玉
おはじき
洗濯ばさみ
ビニールひも
輪ゴム
ラップもありましたが、いま一つ使い方がわからないまま・・・
扇状に染まるようにと、割り箸をTシャツ内側に裾から対角線に置いて、外側からビニールテープを巻き付け、
丸い輪が扇形の周囲に散らばるようにと、ビー玉を1個ずつTシャツでくるんで輪ゴムでぐるぐる巻き・・・
工房は古民家で冷房設備は扇風機と天然の風のみ。
座敷に座り、黙々と絞りの作業。奥の部屋の開け放した窓からは山と緑の木々と青い空しか見えません。遠くの国道から車の音はするものの、人の声も聞こえず、BGMはセミの鳴き声のみ・・・。
子どものころの夏休みみたい。黙々と作業に没頭できました。
ビー玉を20個近く使ったので、あとで外すのがまたひと苦労でしたが・・・
その後、畑から戻った友人、オーナーと一緒に、藍の葉だけをむしり、カゴいっぱいに。生葉をミキサーで混ぜ、漉した液に下準備をしたシルク布を浸すと・・・
最初は薄緑。それが、ひきあげて空気に触れさせると鮮やかなエメラルドグリーンに!友人たちも興奮して大騒ぎ。浸しては風にあて、を数回繰り返しました。青い葉の香りもして、何ともいえない癒しのストールが完成。
私のは綿素材なので、生葉では染められないとのこと。2人とは違う染液でしたが、同じように下準備したTシャツを浸漬したら薄い緑色。それが引き上げて空気にさらすとじわじわと紺色に変化。私もやっぱり大興奮でした。
群青色のようなTシャツにしたくて、4回浸漬しましたが、後処理、乾燥して、自宅に持ち帰るころには濃い水色になっていました。深い藍色になるまで染めるにはどれだけの作業が必要なのか、今回よ~くわかりました。だから藍染めの服ってお高いのですね・・・
「こうやって空気に触れさせると、色が変わるから不思議だよね~」と私。
すると化学専攻だった友人が「酸化還元ってことでしょ。」とポツリ。
お~高校時代に習った、しかも完全に忘却していた単語を43年ぶりに身をもって学んだのか、私。
藍の生葉をむしりながら、「藍の幼葉はおひたしで食べる人もいる」とオーナーから聞いたけど、どんな色の固体が体内から排出されるかにも、興味がありますね・・・