実母(93歳)が暮らす施設へ面会に行きました。義姉が居室に入れたというので、自分もそのつもりで行ったら、なぜかこれまでと同様の面会室へ通されました。
「居室には入れないのですか?」と聞くと
「はい・・・。」と済まなさそうな職員の方。
義姉が入れたことを伝えようかとも思いましたが、止めておきました。義姉から「きれいに暮らしていたよ。」と聞いていたし、はしかもインフルエンザも、コロナだってまだまだ流行しているのですからね。まあ仕方ないです。
面接室に入るなり、「はあ~」と、母は大きなため息をして、テーブルに突っ伏します。(つっぷす➡顔を伏せる、という茨城弁)
これはいつものオーバーアクション。そしてお決まりの一言。
「ねえ、家に帰りたいんだけど。食事が口に合わないのよ。」
以前は私も、家には帰れない旨を真面目に伝えていましたが、どんなに説明しても母親は納得しません。結局彼女を激高させてしまい、お互いに嫌な面会になってしまうので、最近はすぐに話題を変えることにしています。
「ねえ、来月あたり、K(私の長男)夫婦に赤ちゃんが生まれるみたいだよ。」
すると、母は顔をあげて
「え?Kちゃんに?」
「つまり、ひ孫が生まれるってことだよ!」
「あら~、(生まれたら)写真見せてね。男の子?女の子?」・・・
(見事、会話成立。)
「私ね、この前、広島県の縫製教室に行って自分のジーンズ縫ってきたんだよ。」と、自作のジーンズを披露。自分で刺しゅうをした後ろポケットを見せると
「あら、桜ね?ウサギもいるのね。」
(2月生まれだから梅なんですけどね・・・まあ、いいや。ウサギは正解です!)
「何日も家を空けて、よくT(私の夫)さんが叱らなかったわね。Tさん、寂しがっていたでしょうね。」
(こちらも会話成立。婿の名前もすらすらと言えました。えらいぞ。)
縫製教室の帰りに買って来たお菓子を渡したら
「あら、いいのに。」と遠慮しつつ、興味津々のよう。
お菓子の説明をしたり、あれこれとしゃべっていたら、あっという間に15分の面接時間が終了です。
迎えに来た職員の方に
「もっとしゃべりたいのに時間が短いわね。何でこんなに短いの?」と母。
私が「コロナとかいろいろ流行っているからだよ。」と言うと
「へ~、初めて聞いた。そんな話。」
(おいおい、あなたも罹患してますから!)
「お土産持てる?」と渡すと、「これくらい持てるわよ!」と嬉しそう。
反対方向に歩き出しましたが、職員の方に促されて、自室へ戻って行きました。
部屋に戻る頃には、会話内容もすっかり忘れてしまうでしょうけど、15分だけでも楽しく話せたから、まあそれで良しとしましょうよね、お母さん。