還暦記念の「ざ びぼうろく」THE備忘録 

目にとめてくださり、ありがとうございます。還暦を機に、これまでの想いやこれからのことを毎日書いていきます。

最後の最後で痛恨のミス。

シャツ

試作品との記念撮影

 

 たまに、面倒くさい仕事がしたくなります。ものすごく時間をかける作業をわざわざしたくなるんです。

 

 シルクとコットンの交織生地が格安で入手できたので、シャツブラウスでも縫おうかと考えたのが8月。

 通信教育の教材でシャツブラウス1/2サイズを作ったので、それを自分サイズにしようかとあれこれ考えましたが、あまりにも自分の体形には似合わないデザインだったので断念。自分用にゆったりとした形の作品にするべく、昔の型紙を引っ張り出し、せっかくシルクで作るんだからと、胸ヨークにピンタックを入れてみようと思い立ちました。

 

 ピンタックにするには、生地を少しつまんで細長く縫うことを何度も繰り返してストライプ状にしていきます。今回は5mmほどの太目のピンタックだったので、最後にピンタックを倒しながら横にステッチを入れてみました。

 完成したのを見てみると、不思議な影が出来てなかなか面白い。丁寧に縫ったし、シルクのせいで艶もあり、なかなか良いシャツになったかもと、途中までは小さくガッツポーズ。

 

 友人とのお出かけに間に合わせたくて、前日までに、ボタンホールとボタン付け以外は終わらせて、出かける当日の朝は7:30から作業を開始。袖口のカフスからボタンホールを開けていって、糸始末などすべて終わったのが8:10。あとはボタンをつければ完成です。

 9時に家を出ればいいので、何とか間に合いそうと、しみじみシャツを眺めたところ・・・

 「あ~やっちまった!!」

 

 ボタンホールを上前ではなくて、下前に開けてしまったのです。つまり、ボタンをつける前立てに穴を開けたということ。これで着たらシャツのあわせ方が逆です。そもそも上前と下前では、前立ての縫い方が違うので、下前を上にもってくることは絶対にできません。

 

 しかも、このミスは2回目。数年前にも同じことをやっています。よりによってこんな時にまた繰り返すとは。しかも出かける時間も迫って来ている・・・。

 

 焦る、焦る・・・。着て行くのをあきらめる??

 え~、昨日あんなに遅くまで頑張ったのに??

 やっぱり着て行きたい。あきらめたくない。

 リカバリーしよう!うん、それしかない。

 さあて、どうするかな・・・。

 わずかな時間で考えました。

 

 比翼(ひよく)仕立て風でいこう!

 上前の裏側にボタンを縫い付けて、ボタンを内側で留める比翼仕立てのように見せかけました。本当の比翼仕立ては、前立てが2枚重なっているので、ボタンを普通に留めることができますが、今回はボタンが全部身体の内側なので、はおって着ることは不可能。ほとんどのボタンは留めておいて、かぶって着るようにしました。

 

 見た目は、上前にボタンはなく、前立てだけが見える状態。すっきりとしています。ただ一番上は開けて着るので、誤って開けたボタン穴が丸見え状態。そこで誤って開けてしまったボタンホールの上にボタンを縫い付けてカモフラージュです。

 

 「ねえ、このシャツどこか変だと思わない?」と大急ぎで出かける前に夫に聞いてみたら

 「模様が曲がっている。」

 そこじゃないんだなあ・・・。

 ということは、案外、この似非(えせ)比翼仕立ては気づかれないかも。

 

 友人に会って、ことの顛末を話したら「言われてみなければ全く気づかない。そういうデザインだと思ったよ。」と言われました。

 

 そうだよな。堂々と着てしまえば、他人様は案外何とも思わないのかもなあ。

 

 その後正しい前立てにボタンホールを開け、最初に開けてしまったところは手縫いでふさぎながらボタンを縫い付けて、無事完成と相成りました。

 

 慌てる乞食は貰いが少ない、とはまさにこのこと。

 焦って最後の仕上げをするからこういうことになるんです。

 何事も余裕をもって行動しないと、いけません。と猛省いたしました。

 

 ちなみに材料費は1,000円。

 いろんな意味で十分楽しめたソーイングでした。