還暦記念の「ざ びぼうろく」THE備忘録 

目にとめてくださり、ありがとうございます。還暦を機に、これまでの想いやこれからのことを毎日書いていきます。

美しくあり続けられる理由

枯木立

この時期は、透かして見る空が好き

 若い頃は日本庭園はそれほど好きではありませんでした。修学旅行先で見学しても、整えられた美には感動できなかったんです。

 

 ところが数年前、皇居周辺を散策したときに、整えられた芝生と植えられていた松を見ていたら涙が出てきて、自分でも驚いたことがあります。芝生と松だけなのに、圧倒的に美しいのです。芝生は揃っていて鮮やかに光っているし、並んで植えられている低い松も適度な距離で立ち、それぞれに個性がありながら全体に調和しているのです。

 

 先日放送されたNHKスペシャルで、足立美術館桂離宮の庭師さんたちの仕事ぶりを視聴しました。いつ見ても美しい庭園であり続けるには、日々のご苦労と絶え間ない努力があることを知り、涙を流した芝生と松を思い出しました。

 番組の中で、庭師さんたちが一生懸命に作業されている姿には、庭の美しさとはまた別の、感動がありました。まさに「真摯」という表現がぴったり。大雪でも、大雨でも、大風でも、とにかく庭仕事。自然の姿と勘違いさせるような選定技術なども映し出されていて、テレビを見ながら感嘆しておりました。こういう陰の力があるからこそ、美しいものが美しいままであり続けるわけですね。

 

 そういえば、昨年秋に岡山県の後楽園を訪れた時も、ゴミひとつ落ちていない庭園を歩きました。当たり前のように思っていましたが、よくよく考えてみれば庭師さんがいらっしゃるからこそ保たれている庭園なんですよね。展示されていた菊の花と和傘が見事に調和して、素晴らしい秋の庭園でした。

 

 久しぶりに良い番組を見ました。

 美しいものに出会うたびに、それに関わる大勢の人たちにまで思いを馳せられるようにしたいと思います。