還暦記念の「ざ びぼうろく」THE備忘録 

目にとめてくださり、ありがとうございます。還暦を機に、これまでの想いやこれからのことを毎日書いていきます。

梅の思い出あれこれ。

お題「好きな植物は何ですか?」

梅の花

梅の花が好き

 久しぶりにお題に沿って書いてみようと思います。

 大好きな植物は梅。以前、自分のお印(しるし)だと思っている、などと書いたこともあります。中学卒業の記念樹にも選んだくらいですから。和装小物もつい梅花柄のものを集めてしまいますが、1月からせいぜい3月初旬までしか使えないので、あまりたくさん持っていても・・・桜花グッズがそのあとにどど~んと押しよせて来ますからね。

 

 夏は季節柄、梅の実を加工する記事をよく目にします。私は加工食品作りはそれほど興味がないのでやりませんが、実家には梅酒も梅干しも母の手製のものがいつもありました。実母は毎日1時間以上かけて電車で勤務していたのに、梅の実やらっきょうなど、保存食を作る時間がよくあったものだと感心します。三日三晩の土用干しの時は、「雨には当ててはいけないけど、夜露には当てる!」とよく言っていました。フルタイム勤務なのに、干すときに梅干しの向きを返すことなんてどうやっていたんだろう?しかも1年分を毎年作っていたはず。当時は土曜も勤務していたのに…よくやったなあと尊敬します。

 

 梅干しを作るときに一緒に出来上がる梅酢は、母の母、つまり祖母がお気に入りで、東京下町から我が家へ祖母が訪ねて来たときに、よくお土産として母が持たせていました。祖母は「梅酢で青魚を洗う」と言っていた気がします。「梅酢は貴重品だ。」と大事そうにしていました。確かに梅干しを作らなければ梅酢は入手できないですからね。

 

 母は、梅と漬け込んだ赤紫蘇を乾燥させてすり鉢で擦って、自家製ゆかりもよく作っていました。小さなビニール袋に小分けして、封筒に入れて遠くの友人に送るのが楽しみだったようです。私のつわりがひどかった時は、母が作る梅巻きやゆかり飯にずいぶんと助けられました。

 

 私の夏休みのおやつは梅酒に浸かっている梅の実で、小学生の頃でも多い時は3つくらい一気に食べていました。やや身体が火照るような感じもしましたが、体調を崩すようなこともなく…

  梅シロップなどというものを知ったのは後年のことで、子どもに梅酒の梅を食べさせていた我が両親の寛容さには驚くばかりです。今は1粒でも、酔いが回る感じなので、子どもの頃の方がアルコールに強かったのかもしれません。傷ひとつないまんまるの梅の実を探しては食べていましたが、シワシワの梅の実ばかりが漬いている年もあり、大人になって傷のない大きな梅を入手することがいかに贅沢かを知りました。

 

 10年ほど前から実家の梅干しの味が落ち、冷蔵庫には食べきれないほどのらっきょう漬が常備されるようになってしまって、実母の老いを痛感しました。母は数年前から施設で暮らしているので、彼女の自慢のキメが非常に細かいゆかりを口にすることはもうないわけです。私が梅の花が好きなのは2月生まれだということもありますが、母の手製の保存食の思い出とも重なるからなのかもしれません。